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BUNTABI Project

BUNTABI = 文旅 / 偉大な文筆家たちの美しい文章を通じて、過去の日本を旅するProject

湯ヶ島

場 所:静岡 湯ヶ島

作 者:島崎藤村

作 品:伊豆の旅

出版年:1909年

季 節:春

 

ここへ来ると、もう全く知らない人の中だ。北伊豆の北伊豆らしいところは、雑踏した修善寺に見られなくて、この野趣の多い湯が島に見られる。何もかも我々の生活とはかけ離れている。

(中略)

夕方から村の人は温泉に集まった。この人達はタダで入りに来るという。夕飯前に温まりに行くと、湯槽の周囲には大人や子供がいて、多少我々に遠慮する気味だった。我々はむしろこの山家の人達と一緒に入浴することを楽しんだ。我々の眼にはいろいろなものが映った。-激しく労働する手、荒い茶色の髪、僅かにふくらんだばかりの処女らしい乳房、腫物のできた痛そうな男の唇・・・。

 

(一言)

のち十数年後、川端康成が湯ヶ島を訪れ『湯ヶ島の思い出』を書いた。さらに四年後、26歳のときにそれをもとに創作したのが『伊豆の踊子』である。また若山牧水もここを訪れ、『山桜23首』を残している。

 

(関連リンク)

湯本館

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