BUNTABI Project

BUNTABI = 文旅 / 偉大な文筆家たちの美しい文章を通じて、過去の日本を旅するProject

法師温泉 その2

場 所:群馬 法師温泉

作 者:若山牧水

作 品:みなかみ紀行

出版年:1924年

季 節:秋

 

がらんどうな大きな二階の一室に通され、まず何よりも湯殿へ急いだ。そしてその広いのと湯の豊かなのとに驚いた。十畳敷よりもっと広かろうと思われる湯槽が二つ、それに満々と湯が湛えているのである。乏しい燈影の下にずぶりっと浸りながら、三人はただてんでに微笑を含んだまま、ほとんどだんまりのままの永い時間を過ごした。のびのびと手足を伸ばすもあり、蛙のように浮かんで泳ぎの形をなすものもあった。部屋に帰ると炭火が山のようにおこしてあった。なるほど山の夜の寒さは湯上がりの後の身体に浸みて来た。何しろ今夜は飲みましょうと、豊かに酒をば取り寄せた。

 

(一言)

若山牧水らが泊まった宿は長寿館だろう。今では非常な人気があって、宿泊予約するのも困難のようである。

 

法師温泉長寿館公式サイト

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